綺麗だと思ったんです。すごく綺麗な世界。
素敵な邸宅、非の打ち所の無いお嬢様、端正な青年、夏の風景、嵐の描写までも。
空気がどっと溢れて、目の前に広がっていくような、自分がそこにいるかのような感覚でした。
でも怖かった。
一章ごとに語り手が変わる、という構成で、インタビュー形式だったり、小説のような語り口だったり、様々な語り方で事件そのものを描いているんですが、その事件のイメージがどんどん鮮明になっていくんです。
読み終わったときの何とも言えない脱力感、そして事件の収束を感じた充実感、その両方を感じました。
祖父江さんの装丁も素晴らしい。
ジャケットの紙裏印刷も気が利いているし、
プロローグの、紙のサイズが少しずつ大きくなって本文の紙サイズになる仕組みで物語に引き込まれ、
さらに本文組は全て垂直に見て少し、本の僅か斜めに組まれている。物語の独特の世界観を表現しているようでした。
なんだかすごい本に出会ってしまった、そんな感じです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年7月24日
- 読了日 : 2011年7月24日
- 本棚登録日 : 2011年7月24日
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