夜の声を聴く (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版 (2020年9月7日発売)
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本棚登録 : 532
感想 : 59
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中学二年の時からIQが高すぎ、母親も亡くしている隆太は家の窓から飛び降りたことがあります。
そして引きこもりになります。
18歳の時公園でいきなり手首を切った23歳の女性百合子にとてつもなく魅かれ百合子と逢うために百合子の通っている県立春延高校定時制課程に入学します。

そこで、その後の隆太の人生をすべて変えることになる重松大吾と出逢います。
そこで起こった1年間のできごとは多くの人物の人生を変えるものでした。
家族のいない16歳の大吾は勤め先のリサイクルショップ『月世界』の二階に住んで、そこを営む70代の社長の野口タカエと二人で暮らしています。

『月世界』は便利屋もやっていて、そこにいろいろなことを頼みにくる客の問題を僕は持ち前の頭の良さで解決していきます。
そして、客の問題から大吾の抱えているとても大きな問題が発覚します。

以下ネタバレしているのでお気をつけください。


大吾は11年前に起きた有名な一家惨殺事件でたった一人生き残った男の子で、野口タカエは自殺した事件の容疑者の母親だったのです。
ハル高で出逢ったちゃらけた同級生、重松大吾。彼が真の姿を隠していたことに僕はおののきます。
僕は客の家族で大学教授の廣紀さんとともにその事件をも解決しようとします。そして、今までの事件の線とすべてがきれいに繋がって、事件は解決するのです。

ミステリーの部分もありますが、この物語は主人公の僕の成長を書いた青春小説です。
ハル高の卒業生たちが18年後に再会する賑やかな場面は大吾だけは姿をみせませんが、とてもよかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年2月16日
読了日 : 2021年2月16日
本棚登録日 : 2021年2月13日

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