清秀の伯父の治親が言った「芸術家の正義は世間の正義ではない」この言葉がこの作品を言い表しているのではないかと思いました。
8歳の時に親元からさらわれて監禁生活を11年送った連子。
誤って、監禁していた康則を殺してしまいます。そして救い出されますが、今度は康則の息子の清秀と逃亡。
康則は老舗料理店の経営者で、清秀は康則とは親子の縁を切った日本画家でした。
命の短いことを知っている清秀は連子の画を命の続く限り描き続けます。
歌は「ジェ・トゥ・ヴ」。
清秀の自死した母が好きだった歌。
蓮子も大好きな歌「ジェ・トゥ・ヴ」。
「あなたが欲しい」。
清秀も、康則も蓮子を欲しがりました。
自分の欲望と狂気ゆえに。
彼らは欲しかっただけで、本当に愛していたのは自分自身だったのではないかと思いました。
自分の作った料理を「美味しい」と言って食べてくれる蓮子。
自分の描く画のためにどうしても必要だった蓮子。
この作品は通常の価値観で読めばとんでもない犯罪の話ですが、この世界観が好きな方にははまる作品かもしれないです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年5月12日
- 読了日 : 2022年5月12日
- 本棚登録日 : 2022年3月22日
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コメント 2件
くるたんさんのコメント
2022/05/12
まことさんのコメント
2022/05/12