町田そのこさん初読みですが、図書館で予約一番でこの本を受け取った時、薄いブルーの表紙に『星を掬う』というタイトルがあるのを見てなぜか心ときめきました。とても綺麗な表紙です。
物語は母と娘でした。
DVの夫弥一から逃げる娘の千鶴は小学一年生の夏に母と旅行した後に母の聖子に別れを告げられ捨てられて、父と祖父母と暮らしていましたが、皆他界して、一人で働きながら逃げていました。
母親の聖子は50歳になる前に若年性の認知症を発症していました。症状はかなり酷いものです。
そんな二人が再び芹沢恵真というもう一人の聖子をママと呼ぶ美容師によって22年ぶりに再会します。
そして、そこには彩子さんという40代女性も一緒に暮らしていて彩子さんの実の娘の17歳の妊婦の美保も合流します。
我がまま放題の美保とおろおろする彩子。
母に近づきたい千鶴と病を抱え何を考えているかよくわからない聖子でした。
そしてそこへ千鶴のDV夫の弥一が乗り込んで来ますが、その時の聖子の対応はまさしく真の母でした。
千鶴は最初に自分の方が何気ない言葉によって母に捨てられたと思う前に自分が母を傷つけていたことに気づきます。
22年ぶりの再会のせいか、何か他人行儀な母娘だなという感じがしました。
私も父は早くに亡くしたので親は母しかいません。
うちは本当にいい意味で友だちみたいな友だち母娘だと思います。あまりにいい母娘関係なので、母に何かあったとき、私は果たして星を掬うことができるのかと思いました。
本文より 印象的だった言葉
出会えたからには大事にしたい。
せっかくなんだから寄り添いたい。
無理に近づこうとはするな。
誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことはときに乱暴になる。
大事なのは、相手と自分の両方を守ること。
相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、自分を傷つけないと近づけない相手からは離れること。
- 感想投稿日 : 2021年11月2日
- 読了日 : 2021年11月2日
- 本棚登録日 : 2021年10月11日
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