長い間積読していた本です。やっと読めました。
この作品は、感想を書けばネタバレ必至になりそうな話ですが、イシグロ氏本人が「ネタバラシOK」帯に何の話か書いてもOK。と言っているらしいので、ネタバレで書きます。
主人公は31歳の介護人のキャシー。
ヘーシャルという寄宿学校で育った子どもたちの話です。
キャシーもそこで育ちました。
子どもたちは、大きくなっても自分たちは憧れの職業には就けないことを知らされます。
子どもたちには誰にも親(ポシブル)はいません。
そして教室では性と「提供」ということをないまぜにして先生たちから教わります。
大きくなっても赤ちゃんが産めない体であり「特別な生徒なので体を健康に保ち将来の提供に備えること」。
そして、宿舎内の子ども同士の人間関係が時として非常にリアルに語られます。
キャシーの一番仲良しなのはルースとトミーで二人はカップルです。
そしてキャシーは初めにルースの介護人になり、ルースは提供の使命を終えます。次にキャシーはトミーの介護人になり、トミーと付き合います。
トミーもまた三回目の提供を終えています。
キャシーとトミーはヘーシャムを辞めたエミリ先生と再会します。そこでヘーシャムの真相が明かされます。
以下完全ネタバレです。お気をつけください。
もう一人ヘーシャムを辞めたルーシー先生はヘーシャムを辞めさせられていました。
ルーシー先生の意見が問題になっていたのです。
「生徒たちの意識をもっと高めるべきだ。何が待ち受けているか。自分が何者か。何のための存在かちゃんと教えた方がいい。物事をできるだけ完全な形で教えるべきだ。それをしないのは生徒たちをだますことに他ならない」
トミーも四回目の提供を終えて使命を終えるのですが、その前にキャシーにルーシー先生の意見が正しいと言っていたのがこの作品のテーマでしょうか。
この作品は臓器提供をする試験管ベビーたちの物語です。
- 感想投稿日 : 2022年2月12日
- 読了日 : 2022年2月12日
- 本棚登録日 : 2022年2月12日
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