打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫 よ 21-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年5月8日発売)
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本棚登録 : 2183
感想 : 136
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この本は齋藤孝さんの『超速読術』という本を読んでいたら、速読な方の例として『打ちのめされるようなすごい本』を書かれた米原万里さんは1日に7~8冊読まれるそうです。と書いてあり、たまたま私はこの本を積んで手元に置いていたので、すぐに読みました。

でも、この本すごいです。この本にこそ打ちのめされます。
私がレビューなどするのは10年、いえ100年早いといわれそうな気がします。感想文だと思ってください。

米原さんはロシア語通訳者であり、作家です。惜しくも2006年に亡くなられています。
この本は二部構成で、第一部が私の読書日記(目次をよんでいるだけで楽しくなります)第二部が書評です。日記は2001年1月より2006年5月まで、書評は1995年~2005年までのもので、主に新聞連載されたものです。

国際情勢については、もう少しやさしい本から学びたいと思いました。米原さんの専門のロシアや、私にとって特になじみの薄い中東が気になりました。
主に政局は小泉政権で、アフガニスタン問題、北朝鮮の拉致問題が大きく取り上げられていたころの記録なので、現在の情勢とは異なる点が残念ですが(私がもっと早く本書を読めばよかったのですが)私はその時代のことも無知なので、書評と日記を読んでいるだけで勉強になりました。
もちろん日本や海外の小説もたくさん載っています。やはりロシア中心ですが。

そして、書評というものは、こんな風に書くものなのかとも何度も思わされました。自分とはあまりにもレベル違いで参考にすらできないと思いました。
米原さんの作家としての作品やこの本で紹介されている本は是非、興味のあるものから読んでみたいと思いました。早逝されたのが惜しまれます。まだお元気でしたら、今の時代のどんな本を選んでくださっていたでしょうか。

日記の後半部分は、癌治療の闘病記録でもあり、その簡単でない苦しみが伝わってきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 米原万里 書評 エッセイ
感想投稿日 : 2019年7月28日
読了日 : 2019年7月28日
本棚登録日 : 2019年7月28日

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コメント 4件

まことさんのコメント
2019/07/28

この本も凄く面白かったです(^^♪
今日、久しぶりに書店に行ってきたのですが、嘘つきアーニャは見当たらず、オリガ・モリゾブナの反語法はさんざん迷って、見送りました。とりあえず図書館で借りてから読もうかなと思いました。でもkanegon69さんオススメなら読んでみようかな♪

Macomi55さんのコメント
2020/09/18

フォローして下さって有難うございます。「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」、「オリガ・モリソブナの反語法」で米原万里さんに惹かれ、私もこの本を読みました。
米原さんはお父様のお仕事の都合で子どものころ東欧に暮らされ、冷戦時代の東欧を生で体験されました。ですので東欧の良かった所も悪かった所も彼女の小説やエッセイを読むと、実感があります。
 米原さんはゴルバチョフ時代のソ連、エリツィン時代のロシアの時代の国際会議でそれぞれ通訳を務めてられました。ニュースで見た総理大臣の横で通訳されていたポニーテールの美しい米原さんの姿は今でも記憶に残っています。
米原さんが何かに書かれていたことで「当時のロシア学校(だったと思う。米原さんがチェコかどこかで通われていた小学校)で使っていた教科書は物語のように面白くのめり込んで読めるものだった。」と書かれていました。私は子供が「社会が嫌い」と言う度に「日本の教科書ではしようがないか」と思うようになりました。米原さんの頭脳はめちゃくちゃ素晴らしいものですが、育たれた文化的土壌も影響していたのかなと思います。

まことさんのコメント
2020/09/18

Macomi55さん。初めまして

こちらこそ、フォローありがとうございます!
米原万里さんの、その二冊は、私も家の本棚に積読してあり、いつか読みたいと思っています。
私は、米原さんの本はまだ、この本しか読んでいません。
でも、この本からも、米原さんの才女ぶりはうかがわれました。
一日7冊も本を読まれるとのこと。
「ロシア学校の教科書は物語のように面白い」のですね!
日本の教科書も、いい所は、どんどん他の国を真似てより良いものになるといいですね。

コメントありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願いいたします(__)

Macomi55さんのコメント
2020/09/18

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。

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