アイドルグループ出身の人気俳優の堀尾葉介を巡る8作の連作短編集で、全体でもひとつの話を織りなしています。
主人公の葉介は芸能人ですが、浮ついた芸能界の話ではありません。
最近、作者の遠田潤子さんのお話を何作か続けて拝読したのですが、遠田さんの作品はイメージとして「寒風吹き荒れる日本海の海」のようなお話が多かったように思いますが、この連作短編集は短編として読むと、葉介と市井の人たちとの交流を描いた「明るいぽかぽかとした春の日差し」みたいなお話もありました。
でも、全体のストーリーとしては音楽で言えば「短調」だと思いました。
最新作なので、何の前知識もなく読みましたが、今までの作品より現代的で映画に関連した話も多くお洒落なかんじがしました。
葉介は子供の頃は、女の子のような顔をした、いじめられっ子でしたがデビュー後は、最後まで明るい好青年で、どのストーリーも引き立てていたように思います。
葉介の父と母も主要な登場人物ですが、二人共存在感があり、特に母親のはかなげな姿が印象的でした。
映画のタイトルを意識された各章のタイトルが素敵なので載せておきます。
第一章 垣見五郎兵衛の握手会
第二章 だし巻きとマックィーンのアランセーター
第三章 ひょうたん池のレッド・オクトーバー
第四章 レプリカントとよもぎのお守り
第五章 真空管と女王陛下のカーボーイ
第六章 炭焼き男とシャワーカーテンリング
第七章 ジャック ダニエルと春の船
最終章 美しい人生
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年10月4日
- 読了日 : 2020年10月4日
- 本棚登録日 : 2020年9月16日
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コメント 4件
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2020/10/04
まことさんのコメント
2020/10/04
くるたんさんのコメント
2020/10/28
まことさんのコメント
2020/10/28