豊洲でSNSで知り合った男女3人が死亡し、4人がヒ素中毒になるという豊洲バーベキュー事件が起こり、容疑者は丸江田逸央34歳。
世間は、その事件で12年前の北海道の灰戸町で起きた灰戸町一家殺人事件を思い出します。
その事件は、同じように食事にヒ素が入れられた一家の事件で犯人は一人だけ生き残った高校生の長女の赤井三葉とも言われていました。
手口が同じだったことから、丸江田が12年前の事件の犯人かとも疑われましたが、12年前丸江田には確かなアリバイがありました。
灰戸町の長女三葉は事件の3か月後、火事で家が燃えましたが、遺体が見つからず行方不明になっています。
月刊東都の記者の勝木剛は二つの事件を調べ始めますが…。
レッドクローバーと言うタイトルが何かカッコいいけどどういう意味だろうかと思ったら赤井三葉の名前でした。
この作品は赤井三葉を中心とするやはりこの作者特有の、母と娘の物語です。
ちなみに、ちょっとネタバレですが、豊洲の事件と灰戸町の事件は繋がっています。
丸江田と灰戸町の事件の犯人は面識があったのです。
勝木の亡くなった妻である美和子が言った
「子供を愛さない親はいても、一度も親を愛さない子供はいないんじゃないかな。だからもし長女がほんとうに親を殺したのだとしたら、その子のほうが先に心を殺されたのよ」。
丸江田が
「殺されるより殺すほうを選んだだけですよ。誰だってそうでしょう?人生の最後に、一度くらい殺す側にまわってもいいじゃないですか」
と言ったのが印象的でした。
作者の最高傑作ミステリ!という惹句にひかれて読みましたが、まさかこういう展開の話とは!という驚きはあり、ミステリーとしては大変面白かったのですが、母と娘の話としてはとても哀しくてイヤな感じでした。
- 感想投稿日 : 2022年8月29日
- 読了日 : 2022年8月29日
- 本棚登録日 : 2022年8月11日
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