河合隼雄さんの『猫だましい』で紹介されていた小説だったので読みましたが『猫だましい』にはあらすじが結末まで書かれているのですが、内容をほとんど忘れていたので、楽しんで読むことができました。
本当に、奇跡ともいえる感動的な結末でした。
もし、結末を先に知ってしまった方は忘れてから読まれるのをお勧めします。
場所はスコットランドの片田舎の町。
主な登場人物は、タイトルになっている牝猫のトマシーナ。
ポール・ギャリコは本当に猫の習性をよく知っていると思いました。ところどころで、以前にうちで暮らしていた猫のことを思い出して、涙ぐみそうになりました。
トマシーナはメアリ・ルーにとても可愛がられている飼い猫です。
トマシーナはメアリ・ルーの溺愛ぶりに少々辟易しているものの、猫らしく、気高く暮らしています。
トマシーナは大冒険をすることになります。
そしてトマシーナの飼い主である7歳の少女メアリ・ルー。母親は亡くなっていません。
メアリ・ルーの父で獣医師のアンドリュー・マクデューイ氏。
<赤毛の魔女>と呼ばれ森にすんでいて、動物の世話をしている女性ローリ・マグレガー。
トマシーナというタイトルですが、主人公はマクデューイ氏です。このお話はマクデューイ氏が心の葛藤をして変化していくお話です。
泣かされるのはメアリ・ルーが父親の次に好きだったはずのトマシーナが父の手によって安楽死させられそうになり「トマシーナを眠らせたりなんかしたら、あたしはもう一生、二度と父さんと口をきかないから」と言って本当に父親とひとことも口をきかなくなってしまうところ。
そして、重篤な病気になり昏睡状態に陥ります。
愛するトマシーナと引き裂かれた少女の心は永久に命の灯とともに消えてしまうのかと思いはらはらしました。
このお話のポイントとなる<魔女>と呼ばれるローリの慈愛に満ちた優しさは天使のようでした。
そしてトマシーナの気高い心は少女のことを忘れていなかったのです。
- 感想投稿日 : 2021年1月24日
- 読了日 : 2021年1月24日
- 本棚登録日 : 2021年1月15日
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