4人の使節と宗達が海を渡り、とうとうローマ教皇に謁見した場面、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロの絵を初めてみ見た場面は、やはり厳かで、感動的でした。
「美」を通して1580年代に東西の文化の交流があったことは、大変素晴らしいことだと思いました。
4年に渡る使節たちの航海の旅は決して無駄ではありませんでした。
以下、完全にネタバレですので、これから読まれる方はご注意ください。
4人の天正遣欧使節とパレードたちを乗せた船はインド、ゴア、ポルトガル、リスボンへ。
そして、ヨーロッパ上陸し二カ月、スペインのマドリードではフェリペ二世に面会し、次はピサの大聖堂へ。そしてフィレンツェに到着し、宗達はレオナルド・ダ・ヴィンチの<キリストの洗礼>という聖母子像の絵を見ます。「レオナルド・ダ・ヴィンチ、私はこのさき決して忘れませぬ、その輝かし名を」。
そしてとうとう夢に見たローマに到着します。しかし、病み上がりのジュリアンは教皇に謁見できず、三人の使節がローマ教皇グレゴリウス十三世に先に謁見し『東方より来たりし三王』の到着を祝福するミサが行われます。
システィーナ礼拝堂の光景は「まるで天国だ」とマルティノは思います。
「最後の審判」の天井画を仰ぎ見た宗達も涙を流します。マルショとミゲルとともに。
システィーナ礼拝堂の天井画を描いた絵師、ミケランジェロ・ブオローティに会いたいと言った宗達に神父は、ミケランジェロは21年前に88歳で死去したことを告げます。
そして、4年の歳月を経てとうとう宗達は狩野州信(永徳)が描き上げた<洛中洛外図>を献上します。
教皇も思わず「なんと美しい」と感嘆の声を上げます。
西欧人であれ、日本人であれ、異ならないものもある。それは「美」を愛でる心。
ミケランジェロが描いた<天地創造>を見て、宗達が涙したのはそこに永遠の美を見出したから。
教皇も「余はいま旅をした。はるかな東にある国、ニッポンへと」。
そしてローマ元老院より「ローマ市民権」が使節たちに授与されますが、使節たちには日本へ帰りつく使命がありました。
宗達は「一日だけでもええさかい、わいはここの絵師とまみえるために街へ出かけたいんや」とマルティノとともに、ドミニコ会修道士マルコによって、ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』をみることがないます。
そこで、シモーネ・ペテルツァーノ工房の弟子のイタリア人の少年に出会います。
少年の名はミケランジェロ・メリージといい、宗達はその出身地にちなんで、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョと呼びます。
そして宗達はカラヴァッジョに父の描いた『風神雷神』の扇を手渡し「いつかまた会おう」と約束をします。
その後宗達は高熱を出して寝込みますが、そこへカラバッジョが「ソウタツとマルティノに渡してほしい」と『ユピテル・アイオロス』(風神雷神)の油絵を持ってきます。
宗達は熱が下がると神学生たちの画室で『風神雷神』の絵を描きます。
そして、その絵をカラヴァッジョの工房へ持っていき約束を果たします。
そしてエピローグ
望月彩は、マルティノによって書かれた古文書を読みます。それは原マルティノの目を通して描かれた日記でした。
彩を驚嘆させたのは「俵屋宗達」が現れたこと。
原マルティノ、俵屋宗達、カラバッジョ、九日間の歴史が生んだ「偶然」。
彩は(風神雷神 Juppiter,Aeolus 真実の物語)の展覧会を開こうと決心します。
- 感想投稿日 : 2019年12月4日
- 読了日 : 2019年12月4日
- 本棚登録日 : 2019年12月3日
みんなの感想をみる