くどうれいんさんと東直子さんのコラボ作品。
ふたりの歌人が短歌と散文でつむぐみずみずしい歌物語。
と本の帯にあります。
どのパートをどちらが書かれているのか私には全くわかりませんでした。
みつきという、マッチングアプリで知り合った男性と、同棲して1年になる29歳の女性が主人公です。
みつきには今の結婚を前提に同棲している恋人の前にハギノという忘れられない恋人がいたのですが…。
みつきの恋人の
「おれたちはもう少し、こういう、柿を剥くような時間が必要なのかもしれない」
という言葉がよかったです。
恋だと思っていたものが愛になった瞬間をとらえた作品だと思いました。
<銀の雨にぬれていく人そのひとりの鞄の中の本の栞よ>
<夏の終わりに夏のはじめのような風どこにも戻るつもりはないな>
<イギリス人なら気にしない雨だけど 光がにじむ道を歩いた>
<水たまりを踏んずけ笑う子であれば違う気球に乗れたでしょうか>
<柿を剥く柿は心底不安なとき手に取ることのない果物だ>
<愛ならばひかりより言葉がはやくその言葉よりはやいてのひら>
<読める駅読めない駅をひとつずつ過ぎておおきな森へと向かう>
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短歌
- 感想投稿日 : 2024年1月30日
- 読了日 : 2024年1月30日
- 本棚登録日 : 2023年11月22日
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コメント 1件
まことさんのコメント
2024/01/30