アンの愛情 赤毛のアン・シリーズ 3 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年2月26日発売)
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本棚登録 : 1475
感想 : 106
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第1巻と比べ、第2巻はあまり面白くなかったので、第3巻を読もうか迷ったが、既に買ってあったので読んだ。
初めの『赤毛のアン』が大好きだったからこそ、これ以上見ていられない。第4巻は読まないと思う。その方がアンの将来に「空想の余地」があって楽しい。
ただ、同巻の完訳版は読んでみようと思った。
当時のカナダの文化、風俗は大変に興味深く、教育制度や移民たちの地位などにも興味を持った。解説書籍やオンライン講義などもあるようなので、調べてみようと思う。泥だらけになる描写はよくあるのに、入浴についての言及が少なくとも3巻まではなく、どうしていたのかとてもに気になる。

■追記2020.11
アンシリーズの完訳に取り組まれている松本侑子先生のオンライン講座を受け、いくらかアンの世界への造詣が深まった。カスバード家やバリー家、リンド家などアンと近しい人物はケルト系であり、パイ家はイングランド系である等の知見を得た。「ブレア」がスコットランド系のファミリーネームであるというような知識は全くなかったが、そういったことを知っていると、なぜマシューが「ブレアの店」を贔屓にしているかが分かるようになる。
在留外国人は少なくないのだろうが、日本にいると、在日韓国、朝鮮人かアイヌの人くらいしか、〇〇系のとして思い浮かばない。在日の人たちも国籍をとったり、とらなかったり、日本国籍者であっても〇〇民族としてアイデンティティを持っていたり、いなかったりするのだろうが、人のルーツというものは変えられないがゆえに、本人の自意識や肯定感、否定感を規定するバックボーンにならざるを得ないと思う。異なるルーツの人々の中にあって初めて意識されるものも多いのだと思う。
自分の父祖が異国に移り、苦労しながら開墾し、職を得、家庭を築き、まわりとは違う信仰を持ち、まわりとは違う年中行事を行いながら生活してきていたらどうだろうと考えてみる。自分はすでに日本語が分からなくなるくらい同化していても、日本や日本文化に対して想い入れを持ったり、同じ日系移民と新たな移民文化を築いたりするのだろうか。
 予備知識があるだけで、同じものを読んでも情報量が全く違う。適切に読解するために、より楽しく本を読むために、あらゆることを知り、考えていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2020年9月26日
読了日 : 2020年9月26日
本棚登録日 : 2020年9月26日

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