幻想的な世界観で、記憶に霧がかかったという設定をうまく表している。ファンタジー要素が強く、おとぎ話の中の現実と文学的なメタファーの境界が溶けて滲んでいる。何かしら示唆されているのだろうなと思っても、難しくて私には捉えきれなかった。読書会とかで他人の解釈とか、文学通の開設を聞いてみたいなと思った。
特に解せないのは以下の点。
・少年に最初に傷をつけたのは何だったのか?
・少年が縄を解いてやった少女は何だったのか?
年をとったら、また読んでみたいと思う。忘却と許しがあったもの、反芻により濃くなった怒りや恨みが残ったっものがより顕著になるであろう年代が読んだら、また違う感想になると思う。
ちょうど漫画の「進撃の巨人」を読んでいたので、言及せずにはいられない。過去の暴力・戦争、憎しみあい、意図的な忘却、敵対勢力間に芽生える個人的な友愛感情と両作品に共通する要素が多い。「進撃の巨人」の種本かと思ったが、「忘れられた巨人」の方が後進だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2022年5月28日
- 読了日 : 2022年5月28日
- 本棚登録日 : 2022年5月28日
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