太陽の季節

著者 :
  • 幻冬舎 (2002年7月1日発売)
3.13
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本棚登録 : 98
感想 : 25
4

一度に読むにはかなりきつい話ばかり。
「完全な遊戯」
女子高生コンクリ殺人を彷彿とさせるような話で、事件が起きる前から、石原は世の中の動きを予見していたのではないか、と言われているようだが、私としては、報道されない、あるいは発覚しないだけで当時からこういう事件はあっていて、石原は噂などでそれを耳にしてインスピレーションを得ていたのではないかと、ふと思った。
「ファンキー・ジャンプ」
さっぱり意味がわからず途中から村上龍を読んでいる錯覚に陥る(同氏の作品にもたまにこういうジャンキーなやつあるので)。
「乾いた花」
後味の悪い話ばかりで、もう読み進めるのが苦痛だったが、ラストのこの作品がとても良くて救われた。
唯一女性を一個の人間として見ている男が主人公なのだ。
結局どの登場人物もろくなことにはならないのだが、この本に収録されているとなにか爽やかささえ感じるのだから不思議。この話は手元に置いておきたいと思った。
『―要するに私達には何かがかけているのだ。いや、それは当節の人間が多かれ少なかれ、そうなのかも知れない。私たちはただそれを急いで焦って埋めようとしただけだ。それ自体をまともでない、といえばいえもしようが。』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年3月11日
読了日 : 2016年2月24日
本棚登録日 : 2018年2月15日

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