・r>g(=資本収益率>国民所得の成長率)についての本。つまり、富は一部の大富豪に集中し、貧富の格差が実は埋まっていないという、フランス経済学者ピケティの説。これは、資本主義が果たすべき機能な一部崩れていることを指している。
・r>gが成り立ってしまっている背景には、大きく二つの理由がある。
ひとつが、タックス・ヘイブン(租税回避地)の存在。これは、税が安い地域に拠点を移し、資産を蓄えることに成功している国があるということ。日本の場合、自動車や衣料の生産拠点をアジアの近隣諸国へ移し、低賃金労働者を雇って賄っていることにあたる。
この流れが続くと、知的労働者は資産を蓄えるが、労働力を提供してきた労働者は仕事が奪われる可能性が高まる(現にその傾向が出ている)。
ふたつめが、テクノロジーの進化。
テクノロジーが発展することで、人の仕事が軽減される傾向にある。事務労働がその代表。
教育とテクノロジーの進化は、働き方や労働を大きく動かすことになる。
・相続の問題も大きい。金持ちであるほど相続資産が多く、資産額が大きいほど運用もプロがおこなうため、返って利益が出やすくなる。
つまり、金持ちの子は引き続き金持ちになる可能性が高く、そうでない大部分の人間は巨額の富を得られにくい。
・ピケティのr>gから学ぶことは二つ。
ひとつは、働き方を見直すこと。教育とテクノロジーの進化は今後も伸び続ける現象であふことを受け入れ、そのテクノロジーをどうビジネスで活用するか、つまりは、これまで以上に知的労働のスキルを身につけなければ生きていけない。
考え、創造する側の人間になること。
ふたつめは、この世界の流れが進み続けることで、結果的に大きな歪みが生まれかねないという事実。世界規模で見直す取り組みであることをしっかり認識しておくこと。
- 感想投稿日 : 2015年3月1日
- 読了日 : 2015年3月1日
- 本棚登録日 : 2015年3月1日
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