漫画って物語で、“語る物”なんだと思う。
そういう意味で、この作品がすごく好き。
吟鳥子先生の漫画は、人物1人を取っても、国・文化・人種・血筋・思想が感じられるから、読んでいて考えることや感じる部分が大きい。
大好きなモノに対してなんですが、漫画にもやっぱり薄っぺらい作品って存在するわけで、それは違うだろうぉおお…!ってなる作品への歯がゆさは半端ない。
しかし、重い作品っていうのも存在していて、それらの作品に対して生じる感情は計り知れない。
読んでる瞬間には理解できてなかったことに、数年ごしにハッと気づいて戸惑うことさえある。
ある環境で育ってきたからこそ持っている感覚、その場所で育ってしまったから逃れられない宿命、自分の立場に対する感情……そんなモノが描かれているのが“架カル空ノ音”です。
誰もが弱いわけでも強いわけでもなく、ましてや正しくもない。
信じるものを守るためには、どこかで他や自分を犠牲にせざるを得ない。
理想を並べたって、理想通りの世界なんて創れない。
でも、自分1人の選択くらい、“善である”と信じたものを通したっていいじゃないか。
その先にあるものを夢みたっていいじゃないか。
この作品を通して、そんな風に感じました。
私の大好きな作品のひとつです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
準BL
- 感想投稿日 : 2011年12月16日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年12月16日
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