あの大進化が「なぜ」起こったか、について、
周到にそろえた証拠を連綿と並べた上で、最後に自説を示している。
まさに、もやもやとした状況が最後に「像を結ぶ」ようで面白い!
全編にわたって、身近な今昔の証拠からそれの意味するところに
したがって時を遡り、状況証拠をそろえていく、という順序が
守られている。
ただし中には、ある物証に対して、著者のストーリーに都合のよい
側面だけを用いて論拠に当てているところも2,3箇所あった。
また、状況証拠という性質上免れないのかもしれないが、この説の
有力な論拠自身が自己矛盾あるいは反証となりうる、という側面には
触れていないところが、まだまだ検証の余地のあるところだと思う。
特に回折格子の捕食-被食関係における効果について。
こういうまとまった科学読み物は、
著者がストーリーの主導権を(当然)握っているので、敢えて反証や
矛盾に敏感になって読んでみましたが、それでも論理における
致命的な欠陥はないと思える、本当に面白い説だと思います。
著者も窮した、
「じゃあ眼はなぜ進化したのか」
という問いは、
「謎が謎を呼ぶ」という科学の醍醐味なのかもしれない。
終盤で明らかにされる説を読むと、
いくつかの関連する事例が頭をよぎります。
それは、
「人工衛星の軍事における意味」
とか、宗教的な解釈ではないですが、
「知恵の実がアダムとイヴに与えた影響」
です。
あと、個人的には
「色彩は脳内以外の外界には存在しない」
というのが、改めて興味深かった。
これは、まったく意外なところで、ソーシャルワーカーにも役立つのではないか、と思える。
- 感想投稿日 : 2019年10月9日
- 読了日 : 2007年5月20日
- 本棚登録日 : 2019年10月9日
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