私は文庫本が好きなので、あくまで文庫に限った話になるが、昨今ミステリーを名乗る本が書店の平台にあふれている、と思う。それも、割とライトな雰囲気(たとえば日常系とか)で、謎解き役はまあありとあらゆる年齢や職業の方々で。まるで2時間サスペンスドラマのようでもある。あそこではかなり前から、家政婦さんだのなんだのが探偵役に取り組んでいた。
で、この本の謎解きコンビは、作家と元編集者。帯にあるとおり「萌えるコンビ」であります。で、解く謎が「幽霊」ときたもんだ。これは、キャラ設定で読ませるタイプの作品だろう、と思ってしまったのは(自分的に)仕方がないと思う。
でも。それだけじゃなかったんだなあ・・・
いろいろ思うことはある。会話に時々イラッとするなあ、とか、登場人物の根っこがみんな似ているなあ、とか、伏線の主張が強いなあ、とか。
でもね。なんていうか。タイトルにもあるように、心理描写、なのかな。現象や行動や時間の経過による結果の裏側にある、登場人物の気持ちとそれを汲み取る側の人物の気持ちが。
とても繊細で、一生懸命で、やさしい。
読んでいても、ほっこりはしない。ただ、読み終わった後、小さな傷みたいに、ずっと気になる。雨坂さんの書く小説を、読めるものなら読んでみたいなと思います。彼の「傷」、私もたぶんそれをマイナスとは思えない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年4月20日
- 読了日 : 2014年4月20日
- 本棚登録日 : 2014年4月20日
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