シリアスな書き口が人の心を掴み、ギャグであることをつい忘れてしまう。そういうやつだ。
この短篇集の大部分は読んで楽しい見て楽しい一発ネタなのだけど、そういうギャグの合間に新感覚をぶちこまれると凄いと錯覚してしまう。エロ漫画に1話だけいい話があるとなんか感動しちゃうような、そんな感じの。そうに違いない。俺は騙されてなどいない。でも野崎まど劇場2が出たら買う。
特に元魔法少女女将とライオン部が背筋にぞわりと来る逸品だった。前者は魔法があると匂わせておきながら魔法は一切使わない、でも元魔法少女という設定にとても意味がある。そういう人だったから魔法少女をやっていたのだし、それが出来るくらいに女将になったということが最後の一言に濃縮されてて、俺も女将さんに貢ぎたい。理想の女将さんはここに居たんだ!という気になった。何を言っているんだろう。
後者は語り口さえ間違ってないなら登場人物が何に血道を上げていようが感動的な話は作れるという恐ろしい代物だった。気の合う仲間と何かをがんばってやるという事事態が気持ちのいいもので、頑張る対象は部活でも趣味でも不法占拠でもなんでもいいのだ。
ライオンの気持ちになって寝るという活動に青春を感じさせる語り口のほうが恐ろしい気がしてきた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年2月1日
- 読了日 : 2015年2月1日
- 本棚登録日 : 2015年1月27日
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