円朝の女 (文春文庫 ま 29-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年5月10日発売)
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感想 : 15
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江戸末期から明治まで、近代落語の祖と言われた大名人、三遊亭円朝と関わりの深かった女性たちを、身近にいた五厘の目線で噺家の語り口で綴る。

面白かった〜。

落語のことはほとんど知らないのですが、
噺家の生活、江戸時代においては身分などもなかったこと、
吉原のこと、明治になってからの戦争のこと、
鮮やかに情景が目に浮かぶほど細やかな描写で、
それでいて噺家の語り口なので飽きずに楽しく読めました。
円朝を愛した女たち、吉原の花魁、芸者、旗本の娘、など、
複雑な心情を側で見ていた語り手の優しさがいい。
円朝の本心はわからないけれど、語り手が円朝の表情を
話すだけで、その空気感が伝わってくる。

絶頂を極めた円朝も晩年は寂しい様子だったことも描かれる。
庶民の目から見た時代小説。
傑作です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2013年に読んだ本
感想投稿日 : 2013年8月17日
読了日 : 2013年8月17日
本棚登録日 : 2013年8月17日

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