この本は私のために書かれたのかってくらい、ひしひしと伝わってくるものがあった。どんなに痛い思いをしたって、人はまた恋をしてしまうんだ。「必要でなくなった」という言葉だけ聞くと、見放されたような孤独感を覚えるが、この本の終盤に出てきた「必要になったから恋をする」とか「必要でなくなったから別れを告げる」といったような表現には、そのような冷たい合理的さは感じない。「好きな人や恋人が必要、必要でないこと」あるいは「別の人を好きになること」は生きていくなかでごくごく当たり前のことなんだなぁと自然に、何の感傷も感じさせずに、すっと心に入ってきた。相手の「必要」を守りきれなかった。ただそれだけのこと。それだけのことなのに、好きな人と気持ちが通わないことは「股裂き」になるほど辛くて苦しくてみじめで情けなくて、死んでしまいたくなるほどで、存在を否定されたような気持ちになって。でも彼らはまた、恋をする。あんな思いをしたというのに。私もいつか、本当いつになるか分からないけど、きっとまた恋をしてしまうんだろうな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
novel
- 感想投稿日 : 2014年3月15日
- 読了日 : 2010年7月13日
- 本棚登録日 : 2014年3月15日
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