三国志 (1の巻) (ハルキ文庫 き 3-1 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2001年6月1日発売)
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本棚登録 : 3035
感想 : 369
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・読みやすい。読書が苦手な自分でも割とすらすら読めた。生きた文章、という感じでぐいぐいと引き込まれる。
・劉備三兄弟の始まり→黄巾討伐→霊帝崩御・朝廷に渦巻く陰謀→戴いた帝を盾に好き勝手する董卓に対し連合軍結成→動かぬ軍を嘆いた曹操・決死の戦い→洛陽を燃やし長安へ移動する董卓→孫堅の死まで。
・劉備が人間臭くていい。人並みに焦るし、怒る。情があっても徳一辺倒の人ではない。そんな彼の汚点を義弟達はひたすら背負い彼を徳の人にする。劉備の胸の奥に秘められた大なるものの輝きがそうさせてしまうのだろうな。
・張飛が良いなあ。兄に目をかけられる趙雲に嫉妬して泣きじゃくる。むしゃくしゃして人まで斬っちゃう。凶暴だけど純真。だけど嫉妬だけを剥き出すんじゃなくて、劉備軍に入りたいと縋るも拒まれ落ち込む趙雲に「戻ってこいよ」ってちゃんと言えちゃう。憎めない、愛すべき問題児。
・曹操の負け戦が熱い。ものすごく熱い。冷静に計算高く勝機の匂いだけを嗅ぎわけてきた曹操が、その冷静さをかなぐり捨てて剣を握った。曹操の背を押し、負けてもなお「無形の財産」と讃える夏侯惇。己を顧みず馬を貸す曹洪。兵達の揺らがぬ信頼に曹操は一言答えた。「生きている。また、闘える」――紳士な夏侯惇がかっこいい。命を懸けた曹操軍の戦に鳥肌が立ち、戻った曹洪と一緒に泣いた。
・マザコン呂布に萌える巻だろ、そうなんだろ北方先生
・戦馬鹿で、欲がなくて、奥さんと馬にはとにかく一途。そしてとにかく強い。なんか魅力に溢れてるじゃないか。
・孫堅の死がやばい。息子の雄姿を見届けた直後ってのがもうね、だめだ。きっと父ならではの感慨と、将としてのこれからの希望に満ち満ちていたんだろうなと思う。身体を貫いた矢が孫堅には「光」にしか思えなかったというところに、そんな孫堅の心情が滲んでいてやるせなかった。
・気持ち的には★5つだけど、初っ端から5つつけたら13巻までの評価が難しくなりそうなので抑えて★4つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(時代・歴史)
感想投稿日 : 2010年11月19日
読了日 : 2010年11月19日
本棚登録日 : 2010年11月19日

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