新書521 全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版 (2015年6月12日発売)
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本書は、資産運用を専門とする経済評論家である山崎元氏とインデックス投資ブログで人気を博している水瀬ケンイチ氏の共著です
インデックス運用を通して、大勝ちはできないのでおもしろくはないが簡単に無難に運用することを目的に、その方法等について説明しています

口座開設方法からはじまり、投資額の決定、投資対象、定期的なバランス調整、最終的な売り方まで、具体的投資対象等も含めて丁寧に説明されています
このようなほったらかし投資(インデックス投信を積み立ててほったらかしておく投資)では儲からないとする主旨の書籍等もありますが、積極的に投資をしても必ず儲かる方法はありませんし、著者たちの言う平均すれば手数料の安いインデックスでの運用のほうが有利という主張は大変納得できるものになります。
投資を生業にしようと言うなら別ですが、他に仕事をしつつ余剰資産を投資するのであれば、このような簡単な方法がいいのかもしれません

【引用】
・インデックス運用とは、TOPIX(東証株価指数)や日経平均のような「株価指数」(ストック・マーケット・インデックス)の銘柄と保有ウェイトで投資したのと同じ収益率を目指して運用する方法を指しますが、個人の場合、それを自分自身がやるのではなく、通称「インデックスファンド」と呼ばれるインデックス運用を行う投資信託に投資することで実行します。
・第一のメリットは、インデックス運用で金融機関(運用会社や販売会社)に支払う手数料コストが安いことです。第二のメリットは、シンプルで分かりやすいことです。第三のメリットは、インデックス運用が「負けにくくて、無難!」であることです。
・インデックス運用の欠点は、相対的に大勝ちできる可能性が乏しくてある種の「面白みがない」ことですが、著者たちは、普通の人にあっては、「面白み」はお金の運用に求めるよりも運用以外の人生そのものの中に求めるほうが有意義だろうと考えています。
・ドルコスト平均法を含めて「時間分散」を行う投資法は、投資すべき資金が既にあり、最適な投資額が決まっているとすると、時間・手間・コストがそれぞれ余計にかかるのと共に、投資が完了するまでの期間に十分機会を利用できない「機会コスト」もかかるので、「気休めにはなっても、合理的ではない方法」です。
・既に運用資金をお持ちの方は、どの道「いいタイミング」など分からない中で平均的に有利だと思うからリスク資産に投資するのですから、ご自分にとっての適正投資額を遠慮なく1回で投資してしまってください(「一括投資」)。
・アクティブファンドの運用者が、「手数料の差に十分見合う以上のアクティブ・リターンをかせぐ自信がある」というのなら、彼(彼女)は、他人のお金でなく、自分のお金を運用しているほうが自然だということに気づくべきです。
・読者には、このほったらかしの時間で、人生を大いに楽しんでいただきたい。仕事に生きるもよし、趣味に生きるもよし、家族とのふれあいに生きるもよし、とにかくQOL(Quality of Life)向上に役立ててほしいと思います。相場のことで頭を悩ます時間は、短ければ短いだけいい。そう思います。
・ファンドを売りたくなったら、まず、その理由は合理的なものかどうかを考えるようにしましょう。
・リスク資産運用として保有しているファンドを売りたいと思った場合、もし、それが合理的な理由であれば、ファンドを売却してもいいでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 電子書籍
感想投稿日 : 2023年9月14日
読了日 : 2016年6月13日
本棚登録日 : 2023年9月14日

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