本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年9月11日発売)
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本棚登録 : 1571
感想 : 186
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著者の読書論を展開し、よくある「速読でわかるところだけつまみ食いする」のではなく、よりしっかり読み込み、まさしく本を血肉にする方法を薦めている。

ただ、はっきり言って物足りない。
著者の基本スタンスとしては、「テキストを丁寧に読み込んで思考プロセスをついた意見することで思考力を鍛える」「古典(原典)を読む」「1行1行に意味がある」「速読より熟読」「線を引いたり付箋を貼ったりしない」などといったものです。確かに言いたいことは分かります。
ただ、著者は、「急いで本を読む必要はまったくありません。私は、一文一文、一字一句納得できるまで丁寧に本を読み込んでいきます。速読や斜め読みをしなくても、一般的な200ページほどの単行本なら、2〜3時間で1冊を読み終えることができます」といいますが、わたしにはできません。ではどうすればできるようになるのか、それが一番知りたいところなのですが、その具体的方法に関する記載はありません。
また、 厚い本を何冊か読んだ後、薄い本で知識の体系化を図るという記載もあるのですが、著者の基本スタンスによれば特にメモ等もしないようなので、つまり厚い本を読んでいるときに中身を大半覚えていなければできない話もサラッと紹介している。
ちなみにこの著者はベンチャー企業の社長なので土日も仕事で、読書は就寝前1時間と移動時間のみらしいのですが、週に本を10冊読むそうです(1冊2~3時間で10冊っていうことは、1日に3時間も移動しているんですね)。
結局、著者(及び同レベルの極めて優秀な人間)しかできない方法を説明なしに薦められてもまったく参考にならず、「この著者ってすごいね」ってだけで終了。
なお、 本書は、編集者が著者に取材をしたのを書き起こしたのかと思わせる記載があり、特に明言はないが、おそらくそうなのであろう。
口述であれば重複・矛盾もわからないわけではないが、矛盾のある説明、微妙な読書量の話、とくかく踏み込みの足りない説明とちょっと残念が点が多すぎる。

話が本当なら著者自体はすごい人なんだから、もう少し丁寧に説明があれば良書だったのにと思います。
本書の後半4分の1を占める書評については、面白そうな本も多数あり、悪くない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 売却済み
感想投稿日 : 2019年9月14日
読了日 : 2014年10月5日
本棚登録日 : 2014年9月21日

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