サイバーセキュリティ読本

著者 :
  • 原書房 (2013年7月24日発売)
3.22
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本棚登録 : 154
感想 : 22
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確かに本書に書いてあるセキュリティインシデントは実際に起ったことであるが、不必要に不安を煽ってはいないだろうか。
これを読んでいる人間が実際に被害を被る可能性があるのかといえば、必ずしも高くない。
仕事でメールを使用していない人間が標的型攻撃を受けるだろうか、彼女もいないのにスマホにカレログを入れられるだろうか、、

本書は「日常生活を取り巻くサイバーセキュリティの現在を物語風」に紹介している本です。
数々発生するいろいろな事案について、非常に個性的な登場人物同士の会話を通じて、明快に説明されています。
さらに、まとめの図表などもあり、非常に役に立つ本だと思いました。

ただし、最後で、著者は、インターネットは無法地帯で危険性が高いから、使う個人個人に自覚や認識、情報収集が必要だと説く一方、法制化による取締についてはインターネットの自由の危機という(曖昧な点がある法律よりはないほうがましだというのである)。
しかし、大多数のインターネット利用者(特にスマホ)はこの本を読まないし、インターネットの危険性について不安はあったとしても、その不安は漠然としたものであり、なぜか「自分は大丈夫」と思っていたりする。
つまり、著者はサイバーセキュリティの専門家として、大多数の国民が危機にさらされていたとしてもインターネットの自由のほうが大切だと主張するのだが、この最後までは非常にいい内容であっただけに残念でならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 売却済み
感想投稿日 : 2018年10月27日
読了日 : 2015年9月13日
本棚登録日 : 2013年8月2日

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