新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年1月18日発売)
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本棚登録 : 818
感想 : 71
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とても丁寧な本。統計数値を一つずつ確認して日本社会に存在する格差の姿を確認していく姿勢がとても几帳面で信頼感がある。その書き方ゆえに退屈な印象だったり、面白くないと感じるかもしれないが、こういうテーマなので丁寧さは欠かせないと思う。
 
そういう手順で導かれたのが、
「格差是正ー平和主義ー多文化主義の立場と、格差容認ー軍備重視ー排外主義の立場こそが、論理整合的な左派と右派の立場だと考えられてきたといっていい。」しかし「こうした構図はかなり崩壊している」。
ということだ。
つまり、社会の底辺で格差是正を求めるアンダークラスが、軍備重視・排外主義の傾向を示している。「ファシズムの萌芽?」とも表現されている。
後者の傾向を最も示しているのが自民党であり、ゆえにアンダークラスが反自民とはならずにいる。しかし自民党こそが格差容認を進めてきたのであって、そこにねじれがある。
 
このことを、感覚的な話ではなくデータをもって解きほぐしたのが本書の最大の功績かと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年6月9日
読了日 : 2020年6月9日
本棚登録日 : 2020年6月9日

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