争うは本意ならねど 日本サッカーを救った我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール (集英社文庫)

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  • 集英社 (2019年1月18日発売)
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感想 : 7
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JFAやJリーグにおけるガバナンス欠如案件についての本。よってカテゴリは「スポーツ」ではなく「法律」に分類した(「ビジネス」でもよいけど)。

ほんの30年前までスポーツの競技団体なんてどこも手弁当で有志(?)が運営していたので、人材の欠如や偏りがあるのは必然である。
その中でいちはやく自立に道筋をつけたのがJFAやJリーグであるが、そんなに一朝一夕に解決できるとは思えない。本書の事例は2007年の出来事であるから、なおのこと。

ガバナンスの欠如そのものには「しょうがないね」と思う部分もあるのだけど(本当はしょうがなくない)、それよりも暗い気持ちになるのは、指摘を受けてからの態度。
それがポジショントークとして必要だと考えているのか、問題の所在を理解していないのか、自己正当化に終始する態度は醜悪。

専門性の高い部門に外部から専門家を招くのは当然だが、その専門家の言動についてのチェック機能が働かないという「ガバナンスの欠如」が本事例の肝である。
本書の事例では、「各クラブのチームドクターが好き勝手にするのはいかん」と言うJリーグドーピングコントロール委員会委員長が、だれからもチェックされずにいる(好き勝手にやっている、と言いたい)ようなシステム、機構上の問題がある。

ドーピングについてはその後に改善が図られたと思うが、しかし同様の問題はまだ潜んでいるように思える。
たとえばハラスメント関係についても、専門家に丸投げしてチェック機能が働いていないという疑いはある。専門家が「調査報告書」を出して、それが実態として「起訴状兼判決文」になっているのは際どいと思って見ている。

とか書いているが、中小企業勤務の私としては他人事ではない。弊社にもちゃんとした法務部門が欲しいなあ。。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 法律
感想投稿日 : 2023年8月11日
読了日 : 2023年8月11日
本棚登録日 : 2023年8月10日

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