ナウシカ考 風の谷の黙示録

著者 :
  • 岩波書店 (2019年11月22日発売)
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本棚登録 : 619
感想 : 48
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面白そうと思って、購入する前にもう一度、マンガ版『風の谷のナウシカ』を読み返した。

ナウシカを一通り読むと、考えたくなる部分が幾つも出て来る。
筆者もそんな思いに駆られて著したのだろうか。
ストーリーを丁寧に追いながら、墓所のクライマックスシーンの解釈は、自分の中に渦巻いていた分からなさに、一つの示唆を与えてくれた。

あとは個人的なナウシカ感想(笑)

王蟲とは何だったんだろう。
幼生を贄に取られた時は攻撃色を示し、粘菌に対しての大海嘯?には青いままだったのも、不思議。
人間が生み出したシステムとしての生き物だけれど、彼らは新人類と同じ体液の色を持ちながら、怒りも悲しみも持ち合わせている。
ナウシカに言わせると、だからこその慈しみと友愛なのだろうけど。

ナウシカを読んで思ったのは、墓所は未来を統べる神にはなれず、恐らく清浄な世界で満ちることもないだろうということだった。
それでも、ナウシカが墓所を壊したことで、王蟲の培養や巨神兵といった、明らかにレベルを超えた力で、一気に滅亡するエンディングからは遠のいたのではないかと思う。

対して私たちは、核を扱えると思っているのか。
そして、ナウシカのように分を超えたテクノロジーを見極める目を持っていると言えるのか。

人間が生み出した巨神兵によって、裁定されたのは皮肉にも人間自身だった。
映画では描かれなかったオーマの成長と、クシャナさんの決断が、マンガ版ではお気に入りだ。
ここについても別冊出してくれないかな。

こんな風に(笑)、『ナウシカ考』を元に各々のナウシカに想いを馳せて欲しいなと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2019年
感想投稿日 : 2019年12月22日
読了日 : 2019年12月22日
本棚登録日 : 2019年12月22日

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