なぜ日本人は学ばなくなったのか (講談社現代新書 1943)

著者 :
  • 講談社 (2008年5月16日発売)
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感想 : 116
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オビに書いてあることを、そのまま。

「勉強嫌い、読書量の不足、敬意の喪失
萎縮する若者が「できる」大人になるために」

この書き方は気に入らないが、では「できる」大人になるためにどうすればいいか?というと、本を読みなさい。&学ぶエネルギーの高い場所に集いなさい。だという。
(と、読んだ。)

中心はタイトルにあるように『なぜ学ばなくなったか』の理由付けであり、解決の一冊ではないと思う。
まして「日本の「教育力」を取り戻す!」のは難しい。

齋藤孝の読書への意味付けは何度も為されており、解決を期待するのならば『読書力』や『古典力』を読んだ方が面白い。

偏差値教育にも意味があるという言を必ずしも否定はしないが、大学進学率の高さと、センター試験までもが人物重視を謳いだした現状で、偏差値という観点での結果に対するモチベーションを上げよという方が無体である。

しかし、学ぶことは教育機関の門戸を叩くことのみに通じるものではない。
そうした中で、読書というのは非常に意味のあることだと思うし、それは偏差値云々よりも大切な心構えであるだろう。

結局のところ、自分に対する責任を失った子供たちに育ててきたのは大人である。
自身への責任どころか、社会へ責任転嫁する光景さえ多々見られる。

大人が「己に対する責任の欠如」についての自省を以て、次の子供たちに中らない限りはこの状況は変わらず侵攻していくだろう。

学びとは、自身にとって震えるほど楽しいものである。
それは齋藤孝の言う共有ではなく、過去や故人と対話する孤独な行為であっても楽しい。

さて、そのことをどう「学ばせる」かを大人は考えてゆかなくてはならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2014年
感想投稿日 : 2014年8月15日
読了日 : 2014年8月15日
本棚登録日 : 2014年8月15日

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