幸田文の父への思い、離婚への思い、また様々なぐるりへの思いがよく伺える短編集。
女性らしく、しかし男性にひけを取らない一本線と意地が垣間見られる幸田文。
その意地が愛嬌のようにも思えてきてしまう。
ハッとしたのが「段」。
食事の段取りが順調にゆき、そのことに機嫌を良くした主人公が、だからこそ食事に間を空けたくないと思い、娘の使いが帰る前に酒を出す。
その酒はメチルが混ぜられたものだと帰ってきた娘から聞かされ、呆然とするという内容である。
淡々と刻まれていたリズムが、ぴん、と止まってしまう瞬間を感じた。面白かった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2011年
- 感想投稿日 : 2011年12月4日
- 読了日 : 2011年12月4日
- 本棚登録日 : 2011年12月4日
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