発達障害 (文春新書 1123)

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年3月17日発売)
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感想 : 88
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名探偵シャーロック・ホームズ。
映画「風立ちぬ」の堀越二郎。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の津崎平匡。

「少し変わったところがあるが、特定の分野におちて驚異的な能力を発揮する天才タイプ」として、アスペルガー症候群の人たちが好意的に取り上げられている。

ここ数年「発達障害」という言葉は、ポピュラーなものになった。

だがその反面、誤解も多い。

裁判で採用された精神鑑定ですら、臨床の専門家の著者などから見ても明らかな誤りであるケースが散見されるという。
少年事件における被告人の刑罰減免のために「発達障害」という病名が濫用されている実態があるのだと。

毎回同じことをし忘れる、目にしても気づかない。
話し出すととまらない、話がとぶ。
ものの置き場所にこだわる。

著者は、昭和大学烏山病院長として、発達障害の人のためのデイケア、リワークプログラムに取り組んでいる。
一筋縄ではいかない状況なかで、トライ&エラーを繰り返し、生活の中で感じる「生きづらさ」への対処、どのように本人の個性を生かした生活をしていくかを検討するのが目標だという。

本人も、家族も、周りの人々も、そして行政、医療関係者が、実態を正しく捉えて対処していくことが肝要なのだと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年12月17日
読了日 : 2017年12月17日
本棚登録日 : 2017年12月17日

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