消された王権・物部氏の謎: オニの系譜から解く古代史 (PHP文庫 せ 3-2)

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  • PHP研究所 (2002年3月15日発売)
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古代ヤマトには皇祖神を祀る大きな神社は皆無で、その祭祀の対象はもっぱら天皇家のかつての敵であった出雲神系であった。その祭祀を取り仕切ったのは古代の一大豪族でありモノ=神を司る物部氏であった。天皇家の祭祀はいずれも物部氏由来のものであるという。
近畿地方に天皇家よりも先に国をなしていたのが三輪大神=大物主を崇める出雲族であり物部氏であった。ヤマトの地を禅譲した後も豪族として全国的に勢力を奮ったが、蘇我氏、藤原氏との政権闘争の末没落した。しかしその後、定住を持たないモノ=鬼として裏社会に潜り込み、影から天皇家を支え、天皇家からも頼られるという循環システムを形成することで生き残り、今なお太古の記憶を受け継ぎ、日本独自のシステムを存続させる事に貢献した。

物部氏はもともと誰かに使える(モノノフのように)ことで力を発揮する一族だったのかもしれない。ニギハヤヒは長脛彦に仕え、その後神武天皇=天皇家に仕えた。そのシステムは、象徴としての天皇を据える事で国が持続する天皇制として現在まで連綿と続いているのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年4月29日
読了日 : 2011年12月11日
本棚登録日 : 2011年12月11日

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