こういう言い方は文豪に対していかがなものだと思うけど、内田百閒、この人の「ノリ」が好き。
随筆はもちろんだろうけれど、短編、小品にも百閒を感じる。
夢と現との境界がはっきりしない世界を百閒の背中から肩越しに見ているような読み心地。「冥途」などはオトナの大きい男が泣き震える肩を間近に見ているよう。薄暗い悲しみ。「山高帽子」の野田は芥川龍之介がモデルらしいと聞いて読んだら曇天の下のやるせない湿度を感じた。
「サラサーテの盤」「長春香」「東京日記」などが特に好き。
随筆?の「蛾鬼道肴蔬目録」は笑いつつヨダレが。
「一本七酌」「特別阿房列車」も良かった。
借金が趣味のような人だったらしいが、その言い分も随筆にはちょこちょこ書いてあってそれが「ノリ」の一部になっていると私は解釈した。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2013年4月16日
- 読了日 : 2013年4月7日
- 本棚登録日 : 2013年4月16日
みんなの感想をみる