由々しき事故が相次いだJR北海道だが、同情すべき点も多い。広大なエリア、人口密度の低い地域に張り巡らされた鉄道網、冬の過酷な厳しさ。最悪の環境下にあることは十分に考慮する余地がある。極寒の中、列車の運転が全面休止されてもおかしくないような状態でも時刻通り動かさなければならない。しかも主力車両はディーゼルカー。メンテナンスが複雑なうえ冬季は一晩中アイドリング状態にしていなければならない。内地に比べ莫大なコストを必要とするにもかかわらず、運賃は公共料金扱いで営業収益が悪化しても変更するのは極めて難しい。いきおい管理職はコストの削減だけを言い、お客様や現業部門の声を軽視してしまう。現場から破損箇所、故障したものを修繕したいとの申請があっても社員の落ち度と撥ね返してしまう。事故前、現業部門は軌間が基準値より広がっていたことに気づいていたにもかかわらず、管理部門には報告しなかった。JR北海道の復権には、固定資産税、軽油引取税、都市計画税の減免、経営安定基金の活用等、実質的な公的支援の議論も大事だが、まずしなければならないのは、管理部門と現業部門の風通しの悪さの改善。人と人との信頼関係を取り戻すことが最も大切と思う。
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2015年4月19日
- 読了日 : 2015年4月19日
- 本棚登録日 : 2015年4月19日
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