氏の作品にしては異色。かなり笑わせられた。見合いの席で昌光氏が「今まで楽しかったことはありましたか」と問えば、聖枝氏は「何もありません」。昌光氏も「僕も」と応える。喋っている時間よりはるかに長い沈黙。また、細部を観察するあまり、どんな顔をしていたのかさえ覚えていないという有様。ところが脚を見て妻になりうると直感し1回の見合いで結婚を決める。何もかもが意味不明。真実をいたって真面目に書いているのだろうが捧腹絶倒の連続。英語が苦手なのに自虐性で英文科に入ったこと。大学4年間就職活動といったものを全然していなかったこと。若い頃のエピソードはどれも昌光氏らしい。ひょうひょうとして些かの虚飾もない宮城谷昌光氏。とってもいい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年6月14日
- 読了日 : 2015年6月14日
- 本棚登録日 : 2015年6月14日
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