ユニクロが宇部から広島へ、そして東京へ、さらに世界へ、さらにデジタルの世界へと脱皮しながら進む歴史を圧倒的な取材でまとめた作品。近年の企業系の本としては最良の一冊。ユニクロが山口の商店街でもがいていた頃、私もすぐ近くの街で中高生だった。進行形で衰退して行く街の閉塞感が肌身でよくわかるだけに、あの環境から世界に到達したことに驚愕。事業環境は言い訳にならない。本書の中でも何度もでてくる「プロフェッショナルマネジャー」も柳井さんが激奨してたので買ったけどボロボロになるまで読み込むほどの愛読書に。経営は逆算、三行の経営論、言うは易し行うは難し。企画マンはたくさん居ても実行に着手する人は少ない。ストイックに数年単位でやり抜く人はもっと少ない。さらに数十年もストイックにやり抜く人は希少種。その凄みが伝わるのがこの二冊。

2024年4月22日

読書状況 読み終わった [2024年4月22日]
カテゴリ ビジネス

マウンテンエックスペリエんす(MX)とかネタ的に笑えた。
MXするよりさせてあげる人になるというのは人間関係を円滑にする上での知恵。

2024年4月23日

読書状況 読み終わった [2024年4月10日]
カテゴリ ビジネス
読書状況 読みたい
カテゴリ ビジネス

太平洋戦争の終盤の激戦地である東京都硫黄島。地上戦の行われた本土決戦といえば沖縄を想起する人が多いが実は東京都にも紛れもなく本土決戦をした島がある。
作者はさまざまな縁をきっかけに硫黄島にわたり遺骨と向き合う。そななかで、いまだ「友軍ハ地下ニアリ」の現場に向き合い伝える遺児や関係者を取材していく。

なぜそこまで島にこだわるのか?自問自答する作者。
「最大の戦後未処理問題は遺骨収集問題だ。遺骨収集問題の象徴は硫黄島だ」という関係者の言葉で理解する。

とはいえ決して悲痛なトーンの話ばかりではなくこんな人も出てくる

「毎日毎日暗い顔していたら、ご英霊も出てくるのが嫌になっちゃいますよ。俺らはこんだけ苦労したんだから。21世紀は最高ですって雰囲気で迎えたいと思うんです」

年々、戦争の記憶は否応なく風化する。日中戦争や日露戦争にらこだわる人は今ではほとんど聞かない。
時間は骨だけではなく社会の記憶も風化させていく。

遺族からすると戦闘で戦死したという感情に加えた「あとのことは心配するな、という国との約束はどこに行ったのですか?」といういまだ折り合いをつけれない感情も横たわっているのだと感じた。

2024年1月30日

読書状況 読み終わった [2024年1月30日]
カテゴリ ビジネス

読了。無名戦士というのは誤訳であり、みんなひとりひとりに名前があり家族がありと。そんな一人一人の戦士から直接聞いた話だけを取材。「I saw there.私はそこにいた、という以外の話は疑ってかかるように」など。

2024年4月13日

読書状況 読み終わった [2024年4月13日]
カテゴリ そのほか

ワコールの創業者の塚本さんの破天荒な一代記。話はインパール作戦から始まる。氏はこの絶望的な作戦の生き残りであり帰国便の船で、生き残ったことへの罪悪感、戦友への使命感を強く刻んで帰国する。
氏は男性だからこそ、女性向け商品を開発販売する上で、女性をかずおおく登用することとなり、結果的に多様性に飛んだ経営チームが生まれて革新的な製品やマーケティングで飛躍していく。

自分が知らないが故に、社員と「相互信頼」を経営の根幹に。組合からの要求は100%受け入れるということまでやってた破天荒さ。
「日々仕事に従事する基本となる就業規則は、お前は自らの意思で作っていない、世間一般がやっている一般のルールをそのまま持ち込んでいるだけである。それでは世間並の会社しか出来ないのは当たり前である。お前に信念と決意があれば、先ず社員を徹底的に信頼するところから始めるべきである」

また京都は京セラ、日本電産、村田製作所、ロームなど数々のスタートアップ(今で言うとディープテックだな)を輩出した土壌があるけど、そのメンターになっていたのが塚本さんでありワコールという一企業を超えた存在。

戦争で死線を潜り抜けてきた経営者は、戦友のためにとにかく頑張るという贖罪感のようなストイックさを感じるがこのほんもその系譜の一冊。豊かな現代で同じような経営はできない。

2024年4月23日

読書状況 読み終わった [2024年3月5日]
カテゴリ ビジネス
読書状況 読み終わった [2024年4月22日]
カテゴリ 小説
カテゴリ ビジネス

人はなぜここまで消費をやめられないのか?
消費は快楽をもたらすが、薬に限らず過剰な消費は苦痛をもたらす。快楽と苦痛のバランスをどうとるのか?について書かれた本。

1,快楽の飽くなき追求、苦痛からの逃避は靴絵に導く、シーソーのように。
2.回復は断つことから始まる
3.ドーパミンは脳の報酬回路をリセットする。おかげでシンプルな物事に喜びを見いだす。
4.徹底的な正直さは自覚をもたらす。充分状態のマインドセットを生み出す。

現代人とは外の世界を見ることで時間を埋め、自分を見ないようにしている。不完全を不完全と認め、日々の生活の小さなことで嘘をつかないようにし、自分を人生の責任者とすること。


現代はドーパミン経済であるという説がある。ドラッグだけでなく宗教、食事、ゲーム、ポルノなどあらゆる刺激をもたらすソースに簡単にアクセスできる。そしてインターネットが伝染媒介となり世界を覆う。

「現代の宗教は自己意識、自己表現、自己実現を最高の善とする方法で広がっている」

「退屈すると人生の意味や目的という大きな問題に直面する。だけども退屈は新しい発見や発明をする機会になる。新しい考えに必要なスペースになる」

快楽と苦痛は脳の同じ場所で処理される。

快楽主義は無快感症、つまりどんな快楽も感じられなくなる状態に至らしめる皮肉。

オピオイドの依存者にとって未来とは9日。そうでない人は4.7年。依存症は時間的視野を狭める。

ドーパミン依存社会の中で私たちはすぐに満足が得られることに慣れてしまってる。何か欲しければ翌日に玄関に、何か知りたければ画面に答えが。熟考してものも解き明かしたりする習慣を失ってしまったのか?

苦痛から得られるドーパミンはより持続的。ヴィムホフメソッド、エクストリームスポーツジャンキーもそれ。

エクストリームスポーツとは快楽と苦痛のシーソーを苦痛の側に思い切り、素早く押す行為。強烈な苦痛や恐怖にアドレナリン。1ショット加えると強力なドラッグとなる。

どんな行動、物質にも依存症になるリスクがある。リスクは得られる効果が強いほど、長いほどあがる。仕事への依存も同様のメカニズム。仕事に深くコミットするとフローに入る。それ以外の人生の大切なものを、友達や家族との繋がりから切り離す罠になり得る。

徹底的な正直さ、大きなことから小さなことまで真実を言う、とくに自分の悪癖が顕になり深刻な結果をもたらすときこそ真実を言うことが。依存症からの回復に大切。なぜなら正直さは自覚をうむ。第二に親密な関係を生む。第3に正直な自分という物語が生まれるから未来へも責任を持つ。真実を語るのは伝染するのだ周りに影響する。

物質的に豊かな社会に生きる我々がかさなぜ欠乏のマインドセットになるのか?豊かさすぎることが欠乏をうむから。シーソーと同じ。snsが、私たちに何か足りないと自覚させてしまう。その逆の充分状態のマインドセットを作るのが大事。正直さがそこでは大切。

あなたの人生の話をしてくれませんか?どこで生まれ、どんな人に育てられ、どんな子供だったのか?今日までの人生で大事な出来事を一つひとつ話してくれませんか?
患者の自伝的物語を知ると共感がうまれ敵意は蒸発する。人を理解するとはその人を大切にすること。

私たちは全てにおいて得意ではあり得ない。だから得意なことと得意ではないことを知ることが賢い意思決定のためには大切。

私たちは快楽を与えてくれるもの、酒、sns、YouTube、夜のネットポルノ、数え上げるとキリがない。依存症のある薬物や行動は一時的にな解放感を与えてくれるが長期的には問題を増すばかりである。


あなたに与えられて人生にどっぷりと使って欲しい。逃げるのではなく立ち止まり方向を変えて直視してみてほしい。そしてそこに向かって歩いてほし...

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2024年1月30日

読書状況 読み終わった [2024年1月30日]
カテゴリ ビジネス
読書状況 読み終わった [2023年9月12日]
カテゴリ ビジネス

このところ西加奈子ワールドに急にはまってるのだがこれも素晴らしかった。

世界と自分との関わり方について家族やその周辺人物の距離感。
あくまでも自分中心の姉、そしてその姉と仲のよくない母親、振り回せれて困惑する主人公の歩とその父、すべてを受け入れる夏枝おばさんと矢田のおばちゃん、須玖。

自分中心、相手中心、すべてを受け入れる人たち。

そんな中で姉や母と折り合いの悪い主人公の歩は常にふりまわせれて困っているなかで刹那的な人生を送り続ける。

しかしながら刹那的で快楽的な人生も自分の肉体の衰えと共に現実に直面し、自分には何もないことに直面する。

「僕は現実の自分に散々痛めつけられていた。現実を見たくなかった。僕には、輝かしい思い出の中にしか、自分の姿を認める勇気がなかったのだ。」
「自分はいつまでそうしているつもりなのだろうか。自ら為すことなく、人間関係を常に相手のせいにし、じっと何かを待つだけの、この生活を、いつまで続けるつもりなのだろうか」

そんな時に忌み嫌っていた姉があらわれて歩には芯がないといわれる。

「「芯ってなんやねん。」「自分だけが信じられるものよ。歩にはそれがない。それがないから、揺れてるのよ、すごく。」
私がやっていることは、歩がやっていることじゃないのよ。」姉はマンションを背に立っていた。西日が背中から当たって、姉の顔を影にしていた。「あなたはいつだって、私と自分を比べていた。」思いがけなかった。僕が姉と自分を比べていた?何を言っているのだろう。僕はただ、おかしな姉に人生をめちゃくちゃにされたくないから、姉の動向を窺っていただけだ。そしていつしかそれも諦めて、僕は姉のことを僕の人生から抹殺してきたのだ」

姉は信仰宗教を信じたりアートに傾倒したりいろいろなものを熱狂的に信じて滑稽なくらいの傾倒ぶりでまわりをふりまわしてきた。だからこそ


確かに私は、色々なものを信じた。そして傷つき、打ちのめされてきた。でもね、歩。私は少なくとも、信じようとしたのよ。あなたは違う。何かを信じようとしてこなかった。あなたは誰かと自分を比べて、ずっと揺れていたのよ。


という一方で常に自分が信じるものを自分で見つけてきた。歩は常に相手がいて自分の位置を決めていた。だから

「私が、私を連れてきたのよ。今まで私が信じてきたものは、私がいたから信じたの。
私が信じるものは、私が決めるわ。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

と伝えあゆみは衝撃を受ける。
その衝撃のなかでその中で小説を読む喜びを知る。

「小説の素晴らしさは、ここにあった。何かにとらわれていた自身の輪郭を、一度徹底的に解体すること、ぶち壊すこと。僕はそのときただ読む人になり、僕は僕でなくなった。そして読み終わる頃には、僕は僕をいちから作った。僕が何を美しいと思い、何に涙を流し、何を忌み、何を尊いと思うのかを、いちから考え直すことが出来た。」

そしてあなたの名前は歩。だから歩み動かないといけないと姉に諭された言葉、そして311の衝撃もあって旅にでる

「思い出したいと望む者は同じところにとどまって、思い出がひとりでに自分のところまでやってくるのを待っていてはならないんだ!思い出は広大な世界のなかに散らばっているので、それをみつけ、隠れ家の外に出してやるために、旅をしなければならないんだ!』」

エジプト、そして誕生の地のイラン。
そしてサラバという大切な言葉と再び出会う。


相手中心の人は自分の中に確たる自分がないので常にふりまわされてしまう。だから旅をし多数の物語を読んで自分を客観視して自分の中に信じれるものをもつ。
自分とは何か?それを知るには、たくさんの物語を読んで自分を相対化し、旅をして自分の思い出が何かを身体に取り組んでいく。思い出...

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2022年6月24日

大恐慌から始まりブレトンウッズ体制、ドル本位制度、プラザ合意、アジア通貨危機など、定期的に起きる金融危機がなぜ発生しそのたびに国際的にどのような知恵を人類はみにつけて痛みを軽減していったかの解説。
金融危機は定期的に必ず起きるが必ずこれまでも克服してきたというのが歴史から学べる。

2022年4月4日

読書状況 読み終わった [2022年4月1日]
カテゴリ ビジネス
読書状況 読み終わった [2022年7月14日]
カテゴリ スポーツ

能力の高さと多様性は両立
一筋縄ではいかない問題を解決しようとする際には、正しい考え方ばかりでなく「違う」考え方をする人々と協力し合うことが欠かせない。複雑な物事を考えるときは、一歩後ろに下がって、それまでとは違う新たな視点からものを見る必要が
認知的多様
「盲点」も共通している可能性
何層にも折り重なった複雑な問題の解決には、何層もの視点が欠かせない。アメリカの偉大な心理学者フィリップ・E・テトロックはこう言った。「視点が多様化すればするほど、見つけられる有益な解決策の幅」
視点があるからこそ盲点がある。
2匹の若い魚が泳いでいると、向こうから年上の魚がやって来てこう言った。『やあ、おはよう。今日の水はどうだい?』2匹の若い魚はそのまま年上の魚とすれ違い、しばらく泳いだあと、顔を見合わせてこう言った。『水って
贈る側は 自分が それを受け取ったときにどう感じるかを想像する。だから無意識に自分が気に入るものを贈ろうとする。しかしそれは受け取る側が期待するプレゼントではない。好みが違う。それがほしかったら最初からリストに挙げていたはず
しかしそうやって大勢の人々から話を聞く中でもっとも気になったのは、多様性の定義が人によって異なっていた点だ。一口に多様性と言っても、性の多様性、脳の多様性、人種の多様性など、人それぞれ別のことを考えているようだった。
集団には本質的に「クローン化」する傾向が備わって
多様な枠組みの集団は違う。なんでもオウム返しに同意し合うクローンの集まりではない。
有益な情報や視点の「共有」だ。これは多様性が大きな魔法の力を発揮する上で欠かせない。いくら個人が有益な情報を持っていても、それが表明され、共有されなければ、意味はない
登山はいわゆる「VUCA」(ブーカ)な環境で行う活動だ。つまり不安定(Volatile)で、不確か(Uncertain)で、複雑(Complex)で、曖昧(Ambiguous)な環境に登山家は常に置かれて
心理学者と人類学者の意見が合うことは少ないが、集団の秩序が「順位制」(メンバーの序列。ヒエラルキー)によって決まるという点については見解が一致
ヒエラルキーは意図的に形成する場合もあるが、人間はそもそもこういう生き物なの
図5はちょうどそんな様子を表している。本来は素晴らしく多様性豊かなチームで、問題空間を広くカバーしている。しかし支配的なリーダー(左隅の円)がいると、ほかのメンバーは本音を言えず、リーダーが聞きたがっていると思うことを発言する。あるいはリーダーの意見をオウム返しに唱える。反逆者のアイデアは出てこ
黄色のハイライト | 位置: 1,527
そのうちそれぞれの丸はリーダーの丸に重なっていく。考え方の枠組みはどんどん狭くなる。集団の認知力はリーダー1人の認知力と変わらなくなる。その結果が図6だ。反逆者の集団は――順位制の影響によって――クローン集団に転じ
反逆的なアイデアが示されない会議なんて壊滅的
会議を開くことそのものには当然意義がある。1人より大勢の知恵を絞り合うほうが――多様性が考慮されていれば――成果が
しかしここで我々は、厳しい現実と向き合わなければならない。近年の研究に次ぐ研究によって明らかになっている通り、「会議は壊滅的
支配的な人間がリーダーになった場合はさらに抑圧が強まり、メンバーはリーダーの意見に無条件に賛同するように
これは日常的に見られる傾向で、「不均衡なコミュニケーション問題」という名前も付いている。「面白いのは、自分ばかり話している人がその傾向にまったく気づいていないことです」とトンプソン教授は続ける。「彼らは『全員が平等に話している』『平等な会議だ』と言って譲りませ
ほとんどの場合、集団の失敗は『会議をしたにもかかわらず』ではなく『会議をしたからこそ』起こっ...

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2022年2月21日

読書状況 読み終わった [2022年1月11日]
カテゴリ ビジネス
読書状況 読み終わった [2022年1月11日]
カテゴリ スポーツ
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