万葉集の歌の舞台となった土地を巡る旅。刊行された昭和30年代の風景を切り取った別の意味で郷愁を誘う名著。
全三巻、下巻は山陽、四国、九州、山陰、北陸を、収録している。
万葉集の編纂にあたり大伴家持の存在は実に大きい。「令和」の出典となった九州は大宰府であったり、赴任した越中は富山などが本書には登場する。
本書で特筆したいのは写真の素晴らしさ。多くはモノクロではあるが、昭和30年代の貴重な風景が収められている。おそらく海岸など多くの景色は現在は党に失われてしまっていることだろう。本書の時代はギリギリ万葉の昔をかすかに想像できる風景が残されていたようだ。
ちょうど母の出身が富山県ということもあり、特に越中の地名には親しみを持って読むことができた。
現在は現代ライブラリーで入手できる作品。これは名著であると思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
万葉集
- 感想投稿日 : 2020年6月8日
- 読了日 : 2020年6月8日
- 本棚登録日 : 2020年6月8日
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