浜口雄幸と永田鉄山 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社 (2009年4月10日発売)
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感想 : 4
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昭和初期に生きた2人の人物にスポットをあて、その考え方、特に中国の取り扱いの違いから日本のかじ取りをどう考えたかを対比・紹介した作品。
1人は民政党出身の首相浜口雄幸で国際協調による中国との宥和にて繁栄を築く政策。もう1人は陸軍省軍務局長永田鉄山少将で、総力戦に備えた資源確保のためには武力ででも中国を支配化に置く政策。中国を巡る路線対立とは、なかなか現在にも通じますね。
2人は結局時代の波にさらわれ、浜口は世界恐慌のあおりをもろにかぶった挙句に遭難。永田も対立した皇道派の相沢中佐に刺殺されてしまう。
この二人が生きていればその後の戦争はどうなったのだろうか?ただ、現在からみると浜口の路線はじり貧、永田の路線は井の中の蛙的な危うさを抱えていたのではないだろうか。
蛇足だが、選書ながらうんざりするほど同じ内容の繰り返しや未紹介の話を唐突に使うなど読みにくいなあと思うとともに、言うほどの対比考察がないなど不思議に思っていたが、あとがきにあるように論文集の再編だったわけですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 選書
感想投稿日 : 2010年5月30日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年4月17日

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