奈良時代の歴史上の人物、牡鹿嶋足を主人公とする歴史物語シリーズ2巻目。
中央での権力闘争を蝦夷の視点で描いた物語は、なかなかに骨太で、歴史物語としては面白かった。
ただ、エンタメとしてはちょっと物足らないかな。
なんというか、ワクワク感が足らないんだよなあ。
その原因の一番は、主人公嶋足の活躍が少なすぎること。
さらに、性格が律儀すぎて状況に流されることが多く、自分から物語を動かす力に欠けている。
これでは主人公としては役不足と言わざるを得ない。
たぶん、天鈴を主人公にしたほうがずっと面白い物語になったんじゃないだろうか。
二つ目は、その天鈴と嶋足のやり取りがしばしばけんか腰になって、読んでるこっちの気分が悪くなったこと。
傍若無人さも相手を思いやってこそだと思うのだけど、そこの描き方がもう一つだなあ。
そして三つ目は、ロマンスがたらなすぎること。
まあ、歴史物語ではままあることだけど、女性とのロマンスももう少し必要だと思う。
折角、二人も美女が登場してきたのに、全く活かされてない。
次巻以降、嶋足がもう少し主人公らしくなることを期待したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2015年10月21日
- 読了日 : 2015年10月21日
- 本棚登録日 : 2015年10月18日
みんなの感想をみる