シリーズ最終巻。
これまでの4巻が道嶋嶋足を主人公としていたのに対し、本巻の主人公は伊治鮮麻呂だった。
これにはちょっと驚いた。
舞台も京ではなく東北のみ。
鮮麻呂が陸奥守を殺めて蝦夷に新たな時代をもたらすところで終わっている。
結局最後まで嶋足は主人公らしいところなく終わってしまって、いやこれでは、これまでの巻はなんだったのかなあと思ってしまった。
これはなんというかちょっとダメだと思う。
だって、まず読んでて愉しくないもの。
蝦夷が虐げられている苦しさは、それが狙いだとしても、それなら最後に大きな解放がないといけないだろう。
確かに陸奥守を打ち倒すというハイライトはある。
でも、それは手放しの歓喜とはなっていない。
これではなあ。
それに、今までの主人公だった嶋足のその後を描かずに終わってしまったのも、もの足らない。
なぜ、嶋足がその後蝦夷の間で悪く言われるのかの経緯を明らかにせずに終わるとは、なんかこの物語を書いた意味が薄くなってしまった気がする。
そう言う意味では作者もこの物語の持って行き方を決めきれなかったのかもしれない。
そこが不満だ。
最後まで読んで満足できないのは、やっぱり残念に思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2016年2月7日
- 読了日 : 2016年2月7日
- 本棚登録日 : 2016年2月1日
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