麻雀放浪記 2 風雲篇 (文春文庫 あ 7-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2007年10月10日発売)
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阿佐田哲也『麻雀放浪記 2風雲篇』(文春文庫、2007)

青春麻雀小説の大阪編。東京のバラック時代、麻雀仲間の死。
ヒロポン中毒ですべてを失った主人公「坊や哲」はきっかけをつかみ大阪へ。

西のルールに戸惑い、地元の打ち子たちに騙されながらも持ち前の勝負勘で取り戻していく坊や哲。

負けが込んで上着に家に商売道具に女房にと、仲間にすべてを巻き上げられる大阪の打ち子、それも勝負のうちといっそすがすがしい生き様が描かれます。

【本文より】

◯「奴は皆のツキと勘とを計算してよく見てるんだ。一番アツくて一番勘が鈍ってる奴等の逆目へ張っていく。それも奴等の額に合わしてだ。決して自分の勘などを使っちゃないない。自然の理を生かす、ってさっきいってたが、それがそういうことなんだろう」

◯「西村、まだいくらもあるやろ。靴一足かてええ、米一升かてやったる。どうせ朝までまだ大分あるんや」
「取り返す気にならんかい、西村」
「西村、どうせ朝まで帰れやせんのや。声を出せ」
「やったかて同じや。ええもう、みんなくれてけっかるわ」
「それでええよ、それでもともとや。梅田の地下道で寝とったときを考えてみィ。穴のあいとらん服つけとるだけでもましやないか」

◯「金なくたってええのや」
「でも大阪はまだ来たばかりで、何にもないんだ」
「身体張ったらええやんけ。お前、麻雀打ちやろうが」
「身体 ―?」
「おう、小指とか、薬指とか、頭の毛とか、足の指とか、いらんものは仰山あるわ」

◯「玄人同士が打ち合うなんて、阿呆らしいことさ。名誉を賭けて打つわけじゃなし、博打てえものは、弱いやつから確実に勝っていくものだ。素人を狙え、弱いところを潰していけ、それが本当の玄人というものだ」

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カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2015年9月22日
本棚登録日 : 2015年9月22日

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