トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

  • 山と渓谷社 (2010年7月23日発売)
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感想 : 57
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登山の経験はなく今後も想定していないが、とても興味深かった。
低体温症は知識としてはあったが、その急激な進行に驚いた。特に、本書で取り上げられた事例では最もわかりやすい初期症状の震えがなく(急激な体力消耗のためと考察されている)、そうなると低体温症により判断力が低下していても本人が自覚することは難しい。そして様子がおかしいことが傍目にもわかる頃には、深刻な状態になっている。
医師が筆を執っているため、症状や要因の解明もわかりやすく説得力があった。事故の責任のありかついても、様々な不確定要素があるなかでの判断の難しさを繰り返し述べており、真摯に感じた。検証は重要だが、世の中の大抵のことは微妙なバランスと運で成り立っているものであり、後から粗を探すことは容易いことにも自覚的でありたい。
登山に限らず起こり得ることなので、学べてよかった。遭難し帰ることができなかった方々の冥福を祈ります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月1日
読了日 : 2023年11月1日
本棚登録日 : 2023年11月1日

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