菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿 (ハルキ文庫 ほ 5-3)

  • 角川春樹事務所 (2020年6月15日発売)
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感想 : 44
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家の声が聞こえる、不思議な能力を持つ守人を主人公にしたシリーズ第3弾。
2作目で登場した「二軒家」を街づくりの為、改修するところから始まる。
改修しようと、「二軒家」の中を片付けるボランティアに参加した守人は、天袋に隠されていたひな人形を発見する。
以前、住んでいた家族には女の子の子供はおらず、しかも三人官女の一人が欠けていた。
そんな謎だらけのひな人形を、せっかくだからと月光荘に飾ることに。その飾りを観つつ、昔ながらの遊び「貝合わせ」を作るワークショップを開催することにした守人たち。
「貝合わせ」自体は記憶にないが、自分が子供の頃は、毎年近所の家でお雛様の飾りつけをしたことを思い出す。お雛様や鯉のぼりを飾る習慣はいつから無くなってしまったのかと、感慨にふけりながら、読んだ。
2作目では、守人の同級生・田辺の祖父母にまつわるエピソード。3作目では以前は料亭だった「新井」と言うお店をリノベーションして、旅館にするに当たり、リーフレットを作成すると言うエピソードが語られる。
ここまでで、守人が川越に来て、約1年。
自分が何がしたいか、悩んでいた守人だったが、川越に来て、様々な人に出会い、様々な経験をして、自分の道を見つける。
と、ここできっとこの作者さんのことなので、このシリーズは終了なのだろう。
最後のエピソードでは思い切り「三日月堂」や「桐一葉」も登場し、「活版印刷」から読んでいるファンには嬉しい限り。
そして、今シリーズでも川越と言う街を舞台に、人と人との繋がりの大切さ、温かさを考えさせられた。
古くからの友人とでさえ、簡単に会えない時間が続き、ふさぎ込んでいた私の心にも「文鳥」がふらっと飛んできた。そんな感じのするラストだった。
コロナが終息したら、川越に行って、この作品と「活版印刷」を堪能しよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトな感じ
感想投稿日 : 2021年2月12日
読了日 : 2021年2月12日
本棚登録日 : 2021年1月10日

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