<上下あわせた感想>
山岡鉄舟の生涯を描く。
上巻は薩長同盟前後まで
下巻は明治維新〜鉄舟最後の時まで
何事にも「常に全力を尽くす」姿勢を崩さず、剣、書、禅の道を極め、同時に徳川側としての幕末の始末、新しい明治では天皇の側近として、この難しい時代に采配を振るう。この山岡鉄舟の人のために尽くす真摯な姿勢が最大限の魅力であろう。こんな人が本当に居たのであろうかという程、真面目で情熱的で恐ろしい程の職務をこなしている。ちょっとデキスギ感漂うが...。
山本兼一の作品は4冊目だが、どれも己の道を究めようと邁進する男の一徹な心を描いている。欲を言えばこの作者は、まじめ一筋の主人公でなく、昔の人は今の日本人よりよっぽどユーモアセンス溢れる愉快な面があったであろう、そういうその時代を生きた生々しい魅力を加えると、もっと深みが増すように思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2012年8月4日
- 読了日 : 2012年7月25日
- 本棚登録日 : 2012年8月4日
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