グローバル・タックス: 国境を超える課税権力 (岩波新書 新赤版 1858)

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  • 岩波書店 (2020年11月24日発売)
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パナマ文書の公開依頼、GAFAを中心としたグローバル企業の露骨な税金対策が話題となり、その対策のために各国がGAFAへの課税方法を検討している。

基本的にこうした企業は、無形資産(システムなど)をタックスヘイブンに安値で売却し、その無形資産が価値を生み出しているように見せることで、利益移転をしている。

無形資産は固定資産などとは違い、正確な価値の算出が難しいため、この戦略に対する対策は現状ない。

そうした状況下で、OECDを中心とした世界各国が個別課税ではなく、グローバルで共通に課税するスキームを検討している。

元々課税権は国ごとに個別に規定されており、まさにこの課税権こそが国家権力の大きな部分であったが、新たな時代に対応するため、国家の枠組みを超えた超国家での課税が検討されている。

こうした取り組みは連邦制のドイツ帝国でもかつて見られており、基本的に各国の反対に合うものの、第一次世界における敗北により、緊急事態に陥ったため一気に進んだ。

今回のコロナパンデミックで同様の歩みが見られること、特にEUではその萌芽がみられるが、そこに期待である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年9月23日
読了日 : 2021年9月21日
本棚登録日 : 2021年9月21日

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