生きのびるために

  • さ・え・ら書房 (2002年1月1日発売)
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本棚登録 : 93
感想 : 9
5

「ブレッドウィナー」というタイトルで映画化されてたと思います。ネトフリではこのまま「生きのびるために」が正式タイトルかな。
タリバンが支配したアフガニスタンのカブールで、パヴァーナは窮屈な生活をしている。父親がいてなんとかやりくりしていたけれど、父親が突然外国かぶれと言われて連行される。女性は男性がいないと外に出てはいけない。パヴァーナたちはほぼ女しか残っていない。どうするか?パヴァーナを少年と偽るしかない!幸い地雷で死んだ兄の服がある…というのもつらい話。
ヌーリア(姉)がやたら皮肉まみれでパヴァーナに冷たく当たりがちなの地味にイラついたんですが、勉強も出来なくなり自由に外に出られないとなればこうなるかもしれない。
パヴァーナが働きに出るうちに、文字も読めないタリバン兵が亡くした妻を想い涙する姿を見たり、自分と同じように性別を偽って働く同級生と仲良くなったり、人骨を集めるバイトをしたりと知らなかったことをどんどん知っていく。
マザリシャリフにはタリバンがいないと姉と母は一縷の望みをかけてそこに向かって婚姻を結ぶことにするが、マザリシャリフから逃れてきた、家族の遺体も放って逃げてきてしまったと泣く少女と出会ったり、最後までなかなか希望の光が見えない。
結局最終的にパヴァーナたちはカブールを捨てる決断しかできない。そりゃそうだ、武器を持っていて話の通じない相手に何が出来るというのか。
作者もアフガニスタンから手を引けと脅迫が来るような状況らしい。でもきっとそれはアフガニスタンの人たちが全て悪いんじゃなくて、タリバンももちろん悪いけどそれだけが悪いわけでもなくて、ソ連とアメリカの代理戦争が尾を引いてたり諸々あるんだろうなとわかるからなおやるせないというか。
何が出来るのかを問われているような気持ちになりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年3月8日
読了日 : 2023年3月8日
本棚登録日 : 2023年3月7日

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