日本の思想 (岩波新書 青版 434)

著者 :
  • 岩波書店 (1961年11月20日発売)
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本棚登録 : 3283
感想 : 213
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とても良い本なのだろうとは思うのですが難しい。
気になった、心に残ったところ。
Ⅰ日本の思想から(p.7)「断片的な思いつきを過度に尊ぶ「オリジナリティー」崇拝」。この本は1961年に出版されているのですが、現代にも通じるように思った。
Ⅲ思想のあり方についてから(p.138)総合大学について「いろんな学部が、一つの地域に集中しているにすぎない」「総合的な教養が与えられるわけでも、各学部の共同研究が常時組織化されているわけでもない」「ユニヴァーシティという本来の意味からかけ離れている」という当時の大学批判は、現代ではどうだろうか?国立大学が民営化され、個々の大学が独自色を模索し社会とつながろうと様々発信してくれているように、変わってきているのではないか。
Ⅳ「である」ことと「する」こと。この章は講演を基にしていることもあってか、比較的わかりやすく、心に残った。日本国憲法の十二条に対し(p.155)「国民はいまや主権者となった。しかし主権者であることに安住して、その権利の行使を怠っていると、ある朝目覚めてみると、もやは主権者でなくなっているといった事態が起こる」というのは、これまた、まさに現代でもいえることではないか。日本人は政治を論じない、日本は若者が政治を語ることを求めない、勧めない。政府にアクションを取ることもしない、教えない。(p.156)「自由は」「現実の行使によってだけ守られる」「日々自由になろうとすることによって、はじめて自由でありうる」ということは自由以外のことに対しても言えるし、何より「自由」であることは、本来他の何より優先し、持つことを意識しないでいると失われてしまいかねない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文・思想・教育
感想投稿日 : 2021年4月5日
読了日 : 2021年4月4日
本棚登録日 : 2021年4月4日

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