そのとき、西洋では: 時代で比べる日本美術と西洋美術

著者 :
  • 小学館 (2019年2月27日発売)
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感想 : 2
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日本美術と西洋美術を俯瞰し、時代で並べて同時代にどんな美術が世界と日本で起こったか、その比較を通し、それぞれの美術の在り方を探るという本かと思う。
日本美術、西洋美術をそれぞれに論じる本は多いと思うが、それらの関係性に注目したところが面白い。美術と宗教の関係、美術品とそれが配置される建築との関係という論点はとても興味深かった。近代までは一貫して美術に及ぼす宗教の影響力はなんて大きいのか。偶像崇拝の認否が時代で変わるたびに、それに合わせて彫刻、像の美術が興隆するというのも面白い。また日本では西洋に比べ、美術品と背景となる建築の結びつきはゆるやかで、移動されることも多いというのは、確かに!と。日本の住居は、西洋の住居と違って、部屋の用途を限定しない、たとえば寝室とか居間とかに固定されず、さまざまに流用される日本の住形態と通じるものがあるのではないだろうか。
ただ盛だくさんで歴史の資料集か教科書的な気もした。タイトルから予想した内容より一般的な美術史の比較に終わっている気もした。たとえば宗教と美術、建築と美術といったテーマに絞って書いてくださったものを読みたいとも思う。以前に読んだ同じ著者が書かれた「美術の力」の方が、著者の意見、考えが述べられていて、一層面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 芸術・建築・デザイン
感想投稿日 : 2019年8月15日
読了日 : 2019年7月24日
本棚登録日 : 2019年8月15日

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