大衆の反逆 (ちくま学芸文庫 オ 10-1)

  • 筑摩書房 (1995年6月7日発売)
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本棚登録 : 1539
感想 : 112
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本気なのか?反語なのか?といった攻めている感じの文章がある。その先を続けてよく読めば本当に言いたいことが何かわかるが。センセーショナルな章タイトルや導入部の書き方は、新聞のキャッチ―な見出しやリード(前文)に通じるものがある。
「大衆とは、良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出している」という部分で、自分のことを言われているようだった。
「研究者の仕事がますます専門化する」「科学者が一世代ごとにますます狭くなる知的活動分野に閉じこもってゆく」「自己の限界内に閉じこもりそこで慢心する人間」といった言葉は、思想を持つために知を得る時に陥りがちな専門バカや狭窄的な視点への警鐘に思われた。
また「真に自己を迷える者と自覚しない者は、必然的に自己を失う」「一つの真理を発見するものは、その前に習得したものを粉砕しなければならない」という言葉も心に残った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文・思想・教育
感想投稿日 : 2018年2月27日
読了日 : 2018年2月27日
本棚登録日 : 2018年2月11日

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