五條先生の本には、感情よりも理想や目標を追い求める登場人物が出てきますが、この本も例外ではありませんでした。
成嶋さんはその典型を煮詰めたキャラクターですが、今回の主人公は、彼ではなく、八角さんだなあ、と思いました。
五條先生のキャラクター達の、感情より理想や目標を追求する姿には、にがじょっぱさを感じ、いつももどかしいような、何とも言えない気持ちになるのが常なのですが、今回、エピローグの方で、理想だけを追い求めない、もう一つの可能性が示唆されていて、八角さんは少し救われたかな、と思います。
ROMESシリーズは五條瑛先生の本の中では比較的感情にも重心が置かれていると思いますが、そのシリーズ中では、感情に重きを置き過ぎず、かと言って理想をおろそかにせず、一番バランスよく終わったなあ、と思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2012年8月23日
- 読了日 : 2012年8月23日
- 本棚登録日 : 2012年8月7日
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